CM制作の稟議では、「どんな映像を作るか」より先に、「何の課題に、どこまでの費用を使うか」を説明します。目的、制作物、費用の範囲、公開計画、判断方法がそろえば、映像制作に詳しくない決裁者でも検討できます。ここでは、発注担当者が申請資料を組み立てるための型を紹介します。
最初の一枚で、何を承認してほしいかを明確にする
「CMを制作したい」だけでは、企画を検討する承認なのか、制作会社への発注承認なのかが分かりません。最初に申請の段階を書きます。見積もり前なら比較検討の開始、制作会社を選定済みなら制作費と依頼範囲、追加発注なら増える納品物と費用、という分け方です。
説明の順番は、現状の課題、視聴者に起こしたい変化、今回作るもの、必要な予算、承認を希望する期限です。参考映像はその後に置きます。映像の好みが先に議論されるのを避け、目的から判断できる順番にします。
稟議資料に入れる六つの項目
| 項目 | 説明する内容 |
|---|---|
| 課題と対象 | 誰に何が伝わっていないか。対象商品・サービスも明記 |
| 制作物 | 主となる映像、短尺版、縦型版など。各版の用途を添える |
| 費用の範囲 | 制作、出演、音楽、配信、追加対応のうち、見積もりに含むもの |
| 公開の計画 | どの媒体で、いつ、誰が公開・配信するか |
| 比較した案 | 撮影規模や納品本数を変えた案と、採用案を選ぶ理由 |
| 実施後の判断 | どの数値・反応を、誰が、いつ確認するか |
制作会社名だけを並べる比較表より、依頼範囲の違いが見える表が有効です。同じ「一式」でも、キャスト、撮影日数、音の仕上げ、修正対応が違えば、そのまま金額を比べられません。
予算は、確定額と条件付きの費用を分ける
見積もりには、すでに条件が決まった項目と、候補者や撮影場所によって変わる項目があります。未確定の費用を確定額のように書かず、「この条件での概算」「候補決定後に確定」と区別してください。制作費と広告配信費も、同じ予算に含むか別枠かを明記します。
予備費を設ける場合も、根拠のない割合を一律で足すのではなく、追加撮影、商品の差し替え、追加尺など、何に備える費用かを書きます。支払時期やキャンセル時の扱いは、個別の見積書・契約書と社内規程で確認します。
「必ず売上が伸びる」と説明しない
承認を得るために、未検証の売上効果や再生数を約束するのは避けましょう。企画の狙いと、確認できる成果は別です。たとえば認知目的なら商品名の認識や指名での反応、比較検討目的なら商品ページへの遷移や資料請求、営業支援なら商談での利用状況など、目的に対応する確認項目を置きます。
公開前の基準値と、公開後に確認する期間を決めておくと、評価しやすくなります。ただし価格変更、販促キャンペーン、媒体費の増減が同時にあれば、変化を映像だけの効果と決めつけることはできません。測定方法まで含めて、運用担当者と共有します。
説明文の記入例
以下は架空の申請例です。
商品説明が機能の列挙に偏っているため、使用場面を伝えるWebCMを制作します。初めて検討する方が、自分の生活で使う場面を想像できることを狙います。商品紹介ページと広告配信で使用し、主映像と配信用の短尺版を制作します。今回の申請対象は制作費で、広告配信費は別枠です。公開後は、商品紹介ページへの遷移と問い合わせ内容を確認します。撮影規模を抑えた案とも比較し、必要な使用場面を描ける案を選びました。
この文章に、見積書、納品物一覧、制作日程、確認者一覧を添えます。数値目標を入れる場合は、自社の実績や配信計画に基づいて設定し、制作会社の一般例をそのまま転記しないことが大切です。
決裁後の手戻りを減らす
承認後に別部門から新しい要望が出ると、撮影準備や編集の前提が変わります。商品情報を確認する人、ブランド表現を見る人、予算を決裁する人を申請段階で分け、どの段階までに確認するかを決めてください。詳細な制作工程はCM制作の流れで確認できます。
社内検討に必要な制作条件をご相談ください
FILMOQでは、CM・WebCMの目的と依頼範囲を伺い、企画とお見積りをご提案します。決裁前の相談では、ご予算だけでなく「社内で何を比較したいか」もお知らせください。
発行:FILMOQ株式会社。本記事は資料構成の提案です。承認手続き・会計処理・契約条件は、自社規程と関係部門にご確認ください。