ショートドラマ広告とは、縦型(9:16)のドラマ形式で作る動画広告のことです。商品を主役にせず物語を主役にするため、「広告に見えない」まま最後まで見てもらえるのが最大の利点です。ただし、これに全部乗り換えるのは間違いです。2025年の縦型動画広告は2,049億円で前年比155.9%と最速で伸びていますが、テレビメディア広告費は1兆7,556億円。規模はまだ8.6倍の差があります。この記事では、3つの配信モデル、向く商材と向かない商材、KPIの置き方、そしてテレビCMとの使い分けを、TVCMと縦型ショートドラマの両方を演出している制作会社の立場からまとめます。
ショートドラマ広告とは
ショートドラマ広告は、TikTok・Instagramリール・YouTubeショートなどの縦型フォーマットに合わせて作る、30秒〜3分程度のドラマ仕立ての広告です。普通の動画広告が「商品を説明する」のに対し、ショートドラマ広告は「物語を見せて、その中に商品を置く」。視聴者が広告だと気づく前に、話の続きが気になっている状態をつくります。
| 通常の動画広告 | ショートドラマ広告 | |
|---|---|---|
| 主役 | 商品・サービス | 登場人物と物語 |
| 冒頭3秒 | 商品名・ベネフィット | 違和感・問い・トラブル |
| 見られ方 | スキップ対象 | コンテンツとして消費される |
| 制作本数 | 1本を作り込む | 3〜5本作って回す |
| 資産性 | 低い(消化される) | 高い(シリーズ化できる) |
| 向く目的 | 指名検索がある層への刈り取り | まだ興味がない層の掘り起こし |
数字で見る:市場はどこまで来ているか
「ショートドラマ広告が来ている」という記事は増えましたが、規模感まで書いてあるものは多くありません。一次資料の数字を並べます。
| 項目(2025年実績) | 金額 | 前年比 |
|---|---|---|
| 日本の総広告費 | 8兆623億円 | 105.1% |
| インターネット広告費 | 4兆459億円 | 110.8% |
| テレビメディア広告費 | 1兆7,556億円 | 99.7% |
| 動画広告市場 | 8,855億円 | 122.2% |
| 縦型動画広告 | 2,049億円 | 155.9% |
| 運用型テレビCM | 35億円 | - |
出典:電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月発表)/サイバーエージェント「2025年国内動画広告の市場調査」(調査:デジタルインファクト、2025年11月〜2026年1月)。
読み方は3つです。①伸び率は縦型が突出している(155.9%)。動画広告全体の122.2%、ネット広告全体の110.8%を大きく上回ります。②ただし規模はまだ小さい。縦型2,049億円に対してテレビメディアは1兆7,556億円で、8.6倍の開きがあります。③縦型はスマホ動画広告の29.1%を占め、2029年には42.5%(5,648億円)になると予測されている。つまり「テレビをやめて縦型に全振り」は2026年時点では早すぎ、「縦型をやらない」は遅すぎる、という位置にあります。
ショートドラマ広告の3つの配信モデル
「ショートドラマ広告をやりたい」というご相談は、実際には3つの別物に分かれます。ここを最初に決めないと、見積も企画も噛み合いません。
| モデル | やること | 到達のしかた | 向く目的 |
|---|---|---|---|
| ①自社アカウント型 | 自社のTikTok・Instagramでシリーズ連載する | アルゴリズム頼み(0にも100万にもなる) | ブランド資産を積む・採用 |
| ②運用型広告配信 | 作った動画を広告として出稿する | 予算に比例して確実に届く | CV獲得・ABテスト |
| ③IP・アプリタイアップ | 既存のショートドラマ枠や人気アカウントに乗る | 先方のフォロワーに届く | 短期の認知・話題化 |
初めての場合、②の運用型広告配信から始めるのが安全です。①はアルゴリズム次第で結果が読めず、半年〜1年の継続が前提になります。③は単発で数字は出ますが、自社に何も残りません。②なら、少額の出稿で「この企画は反応するのか」を2週間で判定できます。反応した企画だけ①でシリーズ化する、という順番が失敗しにくい設計です。
向く商材・向かない商材
正直に書きます。ショートドラマ広告は万能ではありません。
向く商材
- 悩みが明確で、人に言いにくいもの:脱毛・矯正歯科・薄毛・婚活・転職・債務整理など。「あるある」を物語にすると、自分ごとになる
- 購入までの距離が短いもの:D2Cコスメ、食品、サブスク。見た直後に動ける
- BtoBの職種あるある:経理・情シス・施工管理など。当事者だけが刺さるネタは拡散より深く届く
- 採用:働く様子を物語で見せると、求人票の100倍伝わる
向かない商材
- 検討期間が長い高額商材:住宅・自動車・BtoBの基幹システムなど。感情は動かせても、そこから契約までの距離が遠すぎる(ただし「入口の認知」としては有効)
- 表現規制が重い領域:医薬品・医療機器・金融商品の一部。ドラマ形式にすると効能や利回りの表現が薬機法・景表法・金商法に触れやすく、企画の自由度がほとんど残らない
- すでに認知が飽和しているナショナルブランド:「知らない人に知ってもらう」という前提が成立しない。この場合はブランドムービーやTVCMのほうが合います
法規制に関わる領域は、企画の前に必ず貴社の法務・薬事担当と、必要に応じて専門家にご確認ください。制作会社の判断だけで進めるべきではない部分です。
テレビCMとショートドラマ広告、どちらに出すべきか
いちばん多いご相談です。両方を演出している立場から、目的別に振り分けます。
| やりたいこと | 向いているほう | 理由 |
|---|---|---|
| 会社の信用を担保したい | テレビCM | 考査を通った、という事実そのものが信用になる |
| 指名検索を増やしたい | テレビCM | 放映中に検索数が跳ねる。縦型は跳ね方が小さい |
| 反応を数字で見て改善したい | ショートドラマ広告 | 3〜5本を同時に回してCPAで判定できる |
| まだ興味がない層を掘り起こしたい | ショートドラマ広告 | 広告に見えないので、スキップされにくい |
| 使い方・体験を伝えたい | ショートドラマ広告 | 尺が取れるので、15秒では入らない文脈が入る |
| 採用したい | ショートドラマ広告 | 候補者が見ている面が縦型に寄っている |
| 予算が300万円以下 | ショートドラマ広告 | テレビCMは制作費+放映料で最低300万円台〜 |
そして実務的にいちばん効くのは、どちらかを選ばずに1回の撮影で両方押さえることです。16:9と9:16はカメラの構え方とサイズ設計が違うだけで、キャスト・ロケ地・スタッフは共通です。撮影当日に「縦も撮る」と決めてあれば、追加コストは編集分だけで済みます。逆に、16:9で撮り終わったものを後から縦にトリミングすると、ほぼ確実に画が破綻します。縦を出すかもしれないなら、企画の段階で言ってください。費用の構造はこちらにまとめています:テレビCMの費用|制作費と放映料の内訳。
KPIの置き方:再生数はKPIにならない
ショートドラマ広告でいちばん多い失敗は、再生数を目標にしてしまうことです。縦型の再生数はアルゴリズムの当たり外れで10倍単位で振れるため、企画の良し悪しを判定できません。フェーズごとに見る数字を分けてください。
| フェーズ | 見る数字 | 見ない数字 |
|---|---|---|
| 認知 | 視聴完了率、3秒残存率 | 再生数、いいね数 |
| 検討 | プロフィール遷移率、保存数、指名検索数 | コメント数 |
| 獲得 | CVR、CPA、LTV | フォロワー数 |
特に3秒残存率は企画の当たり外れがそのまま出るので、複数本を回すときの一次判定に使えます。ここが低い企画は、何本回しても下流の数字は改善しません。
制作側から見た、失敗する3つのパターン
1. 1本だけ作ってしまう
縦型は当たり外れの振れ幅が大きいので、1本では検証になりません。同じ予算なら、作り込んだ1本より、フックを変えた3〜5本のほうが確実に結果が出ます。予算配分の相談は最初にしてください。
2. 冒頭3秒に商品名を出す
「せっかく出稿するのだから最初にロゴを」という要望は毎回いただきますが、これをやると広告だと認識されて離脱します。商品が出てくるのは中盤以降、比率でいえば物語7〜8割・商品訴求2〜3割が目安です。冒頭3秒に置くのは、商品名ではなく違和感です。
3. シリーズ化の設計をせずに1話目を撮る
1話目が当たったあと「続きを作りたい」となったとき、キャストのスケジュールが押さえられない・ロケ地が使えない・設定が広がらない、という理由で続けられないケースが多くあります。初回の企画段階で「30話まで続けられる設定か」を確認しておくだけで、この事故は防げます。作り方の全工程は縦型ショートドラマの作り方|企画から配信までの全工程にまとめています。
FILMOQの場合
FILMOQは東京・南青山のCM・映像制作会社で、映画監督が企画・演出を担当します。TVCMと縦型ショートドラマの両方を演出しているため、「どちらに出すべきか」から相談できるのが特徴です。TVCM・WebCMではSony・Google・Honda・Canon・ASICS・外務省など、縦型ショートドラマでは全30話のシリーズ作品や住宅メーカーのシリーズなどを手がけています。ショートドラマ制作は2〜3話100万円〜、TVCM・WebCMは150万円〜(ロケ撮影あり)。企画のご提案とお見積りは無料です。予算の上限を先に教えていただければ、その範囲で成立する企画と、本数・配信面の配分案をセットでお出しします。依頼先の比較検討中の方はショートドラマ制作の費用と選び方|依頼先の比較10選もご覧ください。
ショートドラマ広告で、よく聞かれること。
ショートドラマ広告は最低いくらから作れますか?
FILMOQでは2〜3話100万円〜です。これに広告出稿費が別途かかります。出稿費は検証だけなら月10万〜30万円から始められます。まず少額で企画の当たり外れを見て、当たった企画に寄せるのが失敗しにくい進め方です。
何本くらい作ればいいですか?
最低3本、できれば5本です。縦型は1本では当たり外れを判定できません。同じ設定・同じキャストで冒頭のフックだけ変えた複数本を作ると、1日の撮影でまとめて押さえられるので単価も下がります。
制作期間はどのくらいかかりますか?
企画・脚本に1〜3週間、撮影準備に1〜2週間、撮影1〜2日、編集・修正・納品に2〜4週間。合計で1〜2か月が目安です。急ぎの場合はご相談ください。
タレントやインフルエンサーは必要ですか?
必須ではありません。ショートドラマ広告は知名度ではなく物語で見せる形式なので、無名の俳優でも成立します。むしろ知名度の高いキャストを使うと「広告だ」と認識されやすくなる側面があります。予算配分としては、キャスト費より本数に回すことをおすすめしています。
テレビCMとショートドラマ広告を同時に作れますか?
できます。1回の撮影で16:9と9:16を同時に押さえるのが標準です。ただし企画の段階で決めておく必要があります。16:9で撮り終わったものを後から縦にトリミングすると画が破綻するためです。テレビ局の考査・搬入まで対応します。
見積の前に企画だけ見られますか?
見られます。企画コンセプト案・簡易プロット・参考ビジュアルまで無料でお出ししています。金額だけでなく「実際に何ができるか」を見てから判断してください。
FREE / 企画提案
企画を見てから、決めてください。
FILMOQでは企画のご提案とお見積りを無料でお出ししています。企画コンセプト案・簡易プロット・参考ビジュアルまで出しますので、金額だけではなく「実際に何ができるか」を見てから判断できます。他社と比較検討中でも、予算や時期が固まっていない段階でも構いません。企画をご覧いただいたうえで、お断りいただいて問題ありません。
一次返信は1営業日以内。企画案は最短で当日、目安3営業日以内にお出ししています。作品に合う色を決めて、画のすべてをその色で描きます。
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