「広告代理店を通さず、制作会社に直接CMを頼めますか」——頼めます。実際に増えています。ただし代理店が担っていた仕事が消えるわけではありません。誰かが引き受けることになります。それが誰なのかを、発注を受ける側から具体的に書きます。
この記事はFILMOQ(CM・WebCM制作/東京・南青山)が、制作実績をもとにまとめたものです。金額は目安であり、案件条件によって変動します。
この記事を書いた人
早坂 亮輔(はやざか りょうすけ)映画監督/CMディレクター・FILMOQ株式会社 代表取締役
東京藝術大学大学院 映像研究科 映画専攻 監督領域修了。映画監督・黒沢清に師事。Sony・Google・Honda・Canon・ASICS・放送大学などのTVCM・WebCMを中心に演出。「映像作家100人」選出。長編映画『4/猫』(東京テアトル配給)で商業デビュー、監督作『The Unluckiest Girl in the World』がレインダンス映画祭 長編コンペティション部門に選出。代理店経由の案件と、クライアント直接の案件の両方を担当しています。
- 結論:直接依頼はできる。ただし4つの仕事が自社に来る
- 代理店が実際に持っている6つの機能
- WebCMなら直接依頼が向いている
- テレビCMだけは、枠の壁がある
- 直接依頼で本当に安くなるのか
- 直接依頼に向いている会社・向いていない会社
- 制作会社を選ぶときの確認項目
- よくある質問
1. 結論:直接依頼はできる。ただし4つの仕事が自社に来る
制作会社への直接依頼は、予算を抑えたい企業や、意思決定を速くしたい企業の間で増えています。中間マージンが乗らず、意図が制作チームに直接届くのが利点です。
ただし、代理店を外すと、代理店がやっていた仕事が消えるのではなく、移動します。移動先は、自社か、制作会社です。具体的には次の4つです。
- 「誰に・何を・どう伝えるか」を決める(マーケティング戦略)
- 放映枠を買う(テレビの場合)
- 考査を通す(テレビの場合)
- スケジュールと予算を管理する
この4つを誰が持つかを最初に決めずに進むのが、直接依頼でいちばん多い失敗です。「丸投げできない」ことだけ理解していれば、直接依頼は機能します。
2. 代理店が実際に持っている6つの機能
「代理店は中間マージンを取っているだけ」という理解だと判断を誤ります。実際には次の6つを担っています。直接依頼を検討するときは、このうちどれが自社に必要かで決めてください。
| 機能 | 内容 | 直接依頼にしたとき |
|---|---|---|
| 戦略立案 | 市場調査、ターゲット設定、コミュニケーション設計 | 自社で決めて制作会社に伝える |
| 媒体枠の確保 | テレビ局との交渉、時間帯・出稿量の設計 | 代理店が必要。枠買いだけ依頼する形が一般的 |
| 考査対応 | 放送局の審査への書類提出・やりとり | 制作会社が慣れていれば任せられる |
| 進行管理 | スケジュール、予算、関係各所の調整 | 自社の担当者か、制作会社のプロデューサー |
| リスク対応 | 表現上の問題、炎上対策、法令チェック | 制作会社の経験値に依存する |
| 効果測定 | 出稿後の効果分析と改善提案 | 自社またはマーケ支援会社 |
この表でわかるのは、ネックになるのは「媒体枠」だけということです。他の5つは自社か制作会社で吸収できます。
3. WebCMなら直接依頼が向いている
YouTube、Instagram、TikTok、自社サイトで流すWebCMは、直接依頼と非常に相性がいいです。理由は単純で、放映枠の縛りがなく、放送局の考査もないからです。
- 自社チャンネルへの掲載だけなら、媒体費はゼロで成立します
- 広告配信する場合も、YouTube・Metaの広告アカウントは自社で持てます
- 尺の制約がないので、10秒から数分まで自由に設計できます
- 公開後の差し替えができるので、テレビほど一発勝負ではありません
WebCMで代理店を挟む主な理由は、広告運用を任せたい場合です。制作だけなら、直接依頼のほうが予算を映像そのものに寄せられます。
4. テレビCMだけは、枠の壁がある
地上波で流す場合、ここだけは構造が違います。制作会社は映像を作る会社であって、テレビ局の電波枠を持っているわけではありません。
現実的な組み方は次のどちらかです。
- 制作は直接、枠買いだけ代理店に依頼する(制作費の中間マージンが乗らない)
- 地方局なら、地元の制作会社に枠の手配まで相談する(地域の局と繋がりが強い会社がある)
あわせて、テレビには考査があります。放送局が表現や法令適合を審査する工程で、短縮がほぼ効きません。業種によっては数週間から数か月かかります。直接依頼する場合は、制作会社が考査の手続きに慣れているかを必ず確認してください。
考査の具体的な流れ、必要書類、業種ごとの難易度はCM制作ページの「発注する前に、知っておくこと」にまとめています。
5. 直接依頼で本当に安くなるのか
安くなる場合と、変わらない場合があります。正直に書きます。
安くなるケース
- 制作費に対する代理店手数料がそのまま乗らなくなる
- 伝言が減るぶん、修正の往復が減って工数が下がる
- 予算配分を自社で決められるので、映像に寄せられる
安くならないケース
- 自社に進行管理の人手がなく、結局制作会社にプロデュース費を払う(=手数料の付け替え)
- 戦略が固まっていないまま発注し、企画が何度も振り出しに戻る
- テレビの枠買いを別途代理店に頼むため、その分の手数料は発生する
直接依頼は「安くする方法」ではなく「予算の使い道を自社で決める方法」です。この理解で臨むと、期待とのズレが起きません。
6. 直接依頼に向いている会社・向いていない会社
| 向いている | 代理店を通したほうがよい | |
|---|---|---|
| 媒体 | WebCM、SNS、自社サイト、展示会 | 地上波テレビ、大規模な出稿 |
| 社内体制 | 宣伝・広報の担当者がいて、判断できる | 担当者が兼務で、時間が取れない |
| 戦略 | 「誰に何を伝えるか」が決まっている | そこから一緒に考えてほしい |
| 目的 | 映像のクオリティに予算を寄せたい | 出稿設計・効果測定まで任せたい |
| 決裁 | 決裁者が打ち合わせに出られる | 社内調整に時間がかかる |
7. 制作会社を選ぶときの確認項目
直接依頼する場合、代理店というフィルターがないぶん、制作会社の選定がそのまま結果になります。最低限これを確認してください。
- クライアント直接の案件をやった実績があるか(代理店の下請けしかやっていない会社は、窓口機能を持っていないことがあります)
- プロデューサーがつくか(進行管理を誰が持つか。監督だけでは回りません)
- 考査の経験があるか(テレビの場合)
- 見積もりを費目ごとに分けて出せるか(制作費・媒体費・出演費を分けられない会社は避ける)
- 予算の制約に対して代案を出せるか(「できません」で止まる会社かどうか)
- 権利と使用期間を書面で示せるか(何が・いつまで・どこで使えるか)
8. よくある質問
広告代理店を通さずに直接CM制作会社に依頼できますか
できます。WebCMやSNS動画であれば、媒体枠の制約も放送局の考査もないため、直接依頼が向いています。地上波テレビの場合は、制作会社が電波枠を持っているわけではないため、放映枠の確保だけを広告代理店に依頼する形が一般的です。
代理店を通さないと、何が自社の仕事になりますか
主に4つです。「誰に・何を・どう伝えるか」を決めること、テレビなら放映枠を買うこと、考査を通すこと、スケジュールと予算を管理することです。このうち考査対応と進行管理は、経験のある制作会社であれば任せられます。
直接依頼にすると、いくら安くなりますか
案件によります。制作費に対する代理店手数料が乗らなくなる一方で、自社に進行管理の人手がなければ制作会社にプロデュース費を払うことになり、実質的に付け替えになる場合があります。直接依頼は「安くする方法」ではなく「予算の使い道を自社で決める方法」と考えたほうが、期待とのズレが起きません。
テレビCMを直接依頼する場合、放映枠はどうすればいいですか
放映枠の確保だけを広告代理店に依頼するのが一般的です。制作は制作会社に直接、枠買いは代理店に、と分けることで、制作費に中間マージンが乗らなくなります。地方局の場合は、地元の制作会社が枠の手配まで相談に乗れるケースもあります。
制作会社に戦略から相談することはできますか
会社によります。企画・演出を自社で持つ制作会社であれば、課題の整理から一緒に考えられます。ただし市場調査や媒体プランニングまでを本業としている制作会社は多くありません。どこまでを期待するかを最初に伝えてください。
FILMOQは直接のご依頼を受けていますか
受けています。事業会社から直接のご依頼と、広告代理店・制作会社経由のご依頼の両方を担当しています。企画のご提案とお見積りは無料です。予算や目的が固まっていない段階からご相談いただけます。
直接のご相談を承っています。
FILMOQは、映画監督が企画から演出までを担当する映像制作会社です。TVCM・WebCM・縦型ショートドラマ・ブランドムービーまでの実績があります。代理店を通さない直接のご依頼にも対応しています。
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