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CMの企画・演出だけを依頼する方法|演出のみ発注の進め方・費用・受け皿の作り方

2026.09.12

「この監督に演出だけお願いしたい」「企画と絵コンテだけ外に出したい」——できます。ただし、監督は一人では撮れません。演出のみの発注が成立するかどうかは、受け皿をどう作るかで決まります。発注を受ける側から、分担・費用・進め方を具体的に書きます。

この記事は、事業会社の宣伝担当の方と、広告代理店・制作会社のプロデューサーの方の両方に向けて書いています。後半(第6章)は発注する側が代理店・制作会社の場合の実務です。

この記事を書いた人

早坂 亮輔(はやざか りょうすけ)映画監督/CMディレクター・FILMOQ株式会社 代表取締役

東京藝術大学大学院 映像研究科 映画専攻 監督領域修了。映画監督・黒沢清に師事。Sony・Google・Honda・Canon・ASICS・放送大学などのTVCM・WebCMを中心に演出。「映像作家100人」選出。長編映画『4/猫』(東京テアトル配給)で商業デビュー、監督作『The Unluckiest Girl in the World』がレインダンス映画祭 長編コンペティション部門に選出。広告代理店・制作会社からの演出のみのご依頼も承っています。

この記事の内容
  1. 結論:できる。ただし「受け皿」が要る
  2. 「演出のみ」で、誰が何を持つのか
  3. 依頼する3つのルート
  4. 費用の考え方と目安
  5. 発注側が用意する3つのもの
  6. 【代理店・制作会社の方へ】演出だけを外に振るとき
  7. 揉めやすい3点
  8. よくある質問

1. 結論:できる。ただし「受け皿」が要る

CMの企画・演出だけを外部の監督に依頼することは、業界では日常的に行われています。大手プロダクションにも「企画演出部」があり、監督を指名して発注できます。

ただし、ここを外すと必ず止まります。監督はカメラマン・照明・録音・美術・編集を自分で連れてこられるわけではありません。演出のみを発注する場合、実際に撮影を回す制作チーム(プロダクション)が別途必要です。

つまり、成立させるために必要なのは次の2つです。

  1. 演出を担う監督
  2. 撮影を回す受け皿(プロダクション/プロデューサー)

この2つが揃っていれば、演出のみの発注は問題なく機能します。揃っていない状態で監督だけを押さえると、監督が制作会社を探すところから始まり、結局その監督の所属先に一式で発注するのと変わらなくなります。

2. 「演出のみ」で、誰が何を持つのか

実務でいちばん揉めるのは金額ではなく、分担の線引きが曖昧なまま進むことです。最初に下表のどこまでが監督の仕事かを決めてください。

工程演出のみ発注での標準的な担当備考
企画・コンセプト監督ここが「演出のみ」の中心。複数案を出すかは要合意
絵コンテ監督枚数と修正回数を先に決める
キャスティング監督が選ぶ/プロダクションが集めるオーディションの有無で工数が変わる
ロケハン・ロケーション決定監督が判断/プロダクションが手配監督がロケハンに同行するかを明記
スタッフ編成プロダクション監督が指名するカメラマン等がいる場合は早めに共有
撮影当日の演出監督拘束日数がそのまま費用に効く
撮影の進行・香盤プロダクション監督は進行管理をしない
編集・カラーグレーディング監督が立ち会う/編集は編集者立ち会い日数を決める
MA・ナレーション収録監督が立ち会う立ち会わない契約も可
考査対応・媒体交渉プロダクション/代理店監督は表現の相談に乗るが、手続きはしない

「監督は作る人で、進行する人ではない」——この一行を共有しておくだけで、事故はかなり減ります。

3. 依頼する3つのルート

ルート1:監督が所属する映像制作会社に依頼する

いちばんスムーズです。制作会社に「この監督で」と指名すれば、演出はその監督が行い、撮影と進行はその会社がワンストップで担当します。受け皿を自分で用意しなくて済むのが最大の利点です。

向いているのは、事業会社が直接発注する場合。監督個人を探す手間も、プロダクションを別途手配する手間もかかりません。

ルート2:監督個人/その会社に、演出のみを発注する

すでに受け皿となる制作会社が決まっていて、そこに監督を招き入れる形です。代理店や制作会社が発注側になるときは、ほぼこの形になります。

この場合、監督への発注は「企画・演出」のみ。撮影・編集・機材・スタッフ費は受け皿側の見積もりに入ります。

ルート3:広告代理店を通す

マーケティング戦略や放映枠の確保も含めて任せる場合です。「この監督に演出をお願いしたい」と代理店に指名すれば、代理店が監督の交渉から制作会社の手配まで調整します。テレビで流す場合は、放映枠を持つのは放送局と代理店なので、このルートが現実的です。

ルート発注側受け皿の手配向いているケース
1. 制作会社に指名事業会社不要(制作会社が持つ)初めてCMを作る。社内に制作の知見がない
2. 演出のみ発注代理店・制作会社発注側が持つ座組みは決まっていて、演出だけ強化したい
3. 代理店経由事業会社代理店が手配テレビ放映がある。戦略から任せたい

4. 費用の考え方と目安

演出料は、業界で公開されている相場表がほとんど存在しません。理由は単純で、案件ごとに拘束日数と担当範囲が違いすぎるからです。ただ、決まり方には共通の構造があります。

演出料を決める3つの変数

  1. 拘束日数:企画・絵コンテ・ロケハン・撮影・編集立ち会いの合計。ここがそのまま金額に効きます
  2. 担当範囲:絵コンテまでか、撮影に立つか、編集・MAまで見るか
  3. 納品本数と尺:15秒1本と、15秒+30秒+縦型3本では、考えることの量が違います

FILMOQの場合

FILMOQでも、演出のみのご依頼は一律の定価ではなく、上の3つの変数から個別にお見積りします。尺・納品本数・撮影の想定日数・担当範囲(絵コンテまでか、撮影に立つか、編集まで見るか)をお知らせいただければ、その日のうちに概算をお出しします。お見積りは無料です。

ひとつだけ構造としてお伝えしておくと、演出のみのご依頼は、一式でお受けする場合より演出単価が高くなるのが通常です。撮影・編集を受注しないぶん、全体でバランスを取れないためです。「演出だけのほうが安く済む」という前提で予算を組むと、たいてい合いません。

5. 発注側が用意する3つのもの

① 受け皿となるプロダクション

撮影を回す会社を1社決めてください。ここが決まっていないと、監督は動けません。

② 窓口になるプロデューサー

スケジュール、予算、クライアントとの調整を持つ人です。監督はこの役割を担いません。プロデューサー不在で監督に全部を求めると、結局一式発注と同じことになります。

③ 決まっている条件

最低限これだけは先に固めてください。

  • 尺と納品本数(15秒/30秒/縦型の有無)
  • 撮影の想定日数と時期
  • 予算のうち、演出料に充てられる額
  • 使用期間と使用媒体
  • 誰が最終判断をするか

6. 【代理店・制作会社の方へ】演出だけを外に振るとき

ここからは、発注側が広告代理店・制作会社の場合の実務です。

外部監督を入れる理由は、たいてい3つ

  1. コンペで勝つため:企画の引き出しを増やす。競合プレゼンで通す確率を上げる
  2. クライアント指名:先方が特定の監督の作風を求めている
  3. 社内が埋まっている:スケジュールが合わない

どの理由でも、発注側が気にするのは同じ2点です。「現場で問題を起こさないか」「クライアントの前に出しても大丈夫か」

外部監督を入れるときのチェック項目

  • 過去に代理店経由・制作会社経由の座組みで動いた経験があるか
  • 絵コンテの提出が期日どおりか(ここが遅れる監督は現場でも遅れます)
  • クライアント同席の打ち合わせに出せるか
  • 予算の制約に対して、代案を出せるか(「できません」で止まらないか)
  • 考査のある案件で、表現のリスクを事前に指摘できるか

コンペ段階での企画出しについて

FILMOQでは、無償の企画コンペ・無償の絵コンテ提出はお受けしていません。選考のために企画を出すのであれば、企画料を設定していただく形でお願いしています。実際に企画を書く工数がかかるためで、提案の質を担保するためでもあります。

一方、受注が前提のご相談であれば、企画のご提案とお見積りは無料です。この違いだけご了承ください。

7. 揉めやすい3点

① 著作権とクレジット

演出のみの発注では、成果物の権利が誰に帰属するかを契約で決めます。あわせてクレジット表記(監督名を出すか、出す場合の表記)も先に決めてください。監督側は実績として公開したい、クライアント側は出したくない、という食い違いが後から起きます。

「ポートフォリオへの掲載可否」「公開できる時期」の2点を書面に入れておけば、ほぼ防げます。

② 追加演出・追加修正

「もう1案お願いします」「編集をもう1回見てください」が積み上がると、当初の拘束日数を超えます。修正回数の上限と、超えた場合の単価を先に決めてください。

③ 撮影が流れたときの扱い

天候、クライアント都合、キャストの体調。撮影が飛んだとき、押さえていた日の演出料をどう扱うかを決めておいてください。ここは業界でも慣習が分かれます。

8. よくある質問

CMの企画・演出だけを外部の監督に依頼できますか

できます。ただし監督は撮影スタッフや機材を自分で用意できないため、撮影を回す制作会社(プロダクション)を別途1社用意する必要があります。受け皿が決まっていれば、演出のみの発注は問題なく機能します。

演出のみを依頼する場合、監督はどこまでやってくれますか

標準的には、企画・絵コンテ・キャスティングの判断・撮影当日の演出・編集とMAの立ち会いまでです。進行管理、スタッフ手配、考査の手続き、媒体交渉は監督の担当外で、プロダクションまたは代理店が行います。

演出料の相場はいくらですか

公開された相場表はほとんど存在しません。拘束日数・担当範囲・納品本数で決まるためです。注意点として、演出のみの依頼は一式で発注する場合より演出単価が高くなるのが通常です。撮影・編集を受注しないぶん全体でバランスが取れないためで、「演出だけなら安い」という前提で予算を組むと合いません。FILMOQでは尺・拘束日数・担当範囲をお知らせいただければ、その日のうちに概算をお出しします。

広告代理店や制作会社からの下請けとして受けてもらえますか

お受けしています。代理店・制作会社が受け皿を持ち、FILMOQが企画・演出のみを担当する形での参加が可能です。クライアント同席の打ち合わせにも出席します。

コンペ段階の企画出しは無料でお願いできますか

無償の企画コンペ・無償の絵コンテ提出はお受けしていません。選考のために企画を出す場合は、企画料を設定していただく形をお願いしています。受注が前提のご相談であれば、企画提案とお見積りは無料です。

監督を指名したいのですが、まず何を決めればいいですか

尺と納品本数、撮影の想定時期と日数、演出料に充てられる予算、使用期間と使用媒体、最終判断をする人。この5つが決まっていれば、その日のうちに受けられるかどうかをお答えできます。

企画・演出のみのご依頼を承っています。

FILMOQは、映画監督が企画から演出までを担当する映像制作会社です。一式でのご依頼はもちろん、広告代理店・制作会社の座組みに演出として参加する形にも対応しています。実績があります。

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